福井義高(青山学院大学教授)

レーニンに比べたら我々は皆ひよっこだ。

 

ヨシフ・スターリン

コミンテルン陰謀史観と反共資本主義陰謀史観

 
 20世紀前半の日本の歴史に
ソ連共産主義が多大な、場合によっては決定的影響を与えたとする歴史認識が、
保守言論界に広まっている。
 
 それによれば、
支那事変は、日本軍を中国に釘付けにして中国国民党との戦いで疲弊させ
弱体化を図るとともに「北進」を妨げてソ連を防衛し
国民党に追い詰められていた中国共産党を助けるために始められた。あるいは、何の益もないのに停戦せずに戦いが続いた。
 
 さらに、日本が「南進」からアメリカとの戦争に至ったのも
ソ連日本の攻撃(北進)から守り
日本対米戦に仕向けて敗北させ
その混乱に乗じて共産主義革命を起こすという「敗戦革命」謀略だった──。
 
 一方で、そんな議論は妄想にまみれた「コミンテルン陰謀史観である、と切って捨てるのが日本の歴史研究者の「王道」のようである。
 
 コミンテルン第三インターナショナル、国際共産主義組織)の陰謀ないしは謀略は、本当に実在したのであろうか
 

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